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仕事は障がいを軽減する!当事者事例 vol.1

当事者事例 vol.1

   就労までの道のりを教えてください。

年月 事項 備考
1999.1 体調悪化 大学4年生
1999.4 大学院進学 大学卒業
1999.5 発病→入院(1999.7まで 約1ヶ月半の入院) 大学院修士1年生
1999.10 精神科デイケア利用・参加 大学院休学中
2000.3 大学院退学  
2000.6 薬変更→体調多少安定へ  
2000.10 アルバイト始める しかし長続きしない  
2002.4 職業訓練を受ける(電子回路・IT、1年間)  
2004.4 通院先変更 現在通院している病院へ アルバイト転々
2006.1 地域作業所通所  
2006.7 障がい者職業訓練受講(3ヶ月)  
2006.10 当社入社  
2008.11 サブリーダーに昇格 入社3年目
2009.5 体調安定 現在も続く  
2010.5 リーダーに昇格 入社4年目
2011.5 主任に昇格 入社5年目
2016.4 課長代理に昇格 現在に至る 入社10年目

   業務内容について教えてください。

・障がい者職業訓練(委託訓練)講師
 講義並びに、訓練カリキュラム、テキスト作成など訓練全般に関わっています。

・社内研修講師
 講義並びに、訓練カリキュラム、テキスト作成などを担当しています。

・特別支援学校臨時講師
 2年生並びに3年生に対して、情報の授業を担当しています。

・リワーク担当
 休職している親会社社員に対し、職場復帰のためのプログラムを作成し実施しています。

   どのような仕事観を持っていますか?

障がいを持っているから仕事が出来ないと言いたくないです。言われたくないです。仕事は丁寧に迅速に行います。相手(お客様、上司)は何を望んでいるか(目的と成果レベル)を確認して業務にあたるようにしています。

   どのような人生観を持っていますか?

どのような方にも敬意を持って接するようにしています。心は表情、言葉遣い、態度に表れますので、真摯な姿勢を常に心がけております。人が嫌がることは行いません。しかし逆に、自分が嬉しいと思うことを他人に強制しないように注意します。

   現状をどう感じていますか?

仕事を通じて、障がい者への方の支援が出来ていることに喜びを感じています。仕事は大変ですが、大変だからこそ自身の成長する機会があり、やりがいがあるのだと思います。それがモチベーションにつながっております。

   今後はどうしたいと考えていますか?

障がい者の方が活き活きと生活のできる社会を創りたいと考えております。引き続き障がい者の能力開発に関わる仕事に従事したいと思います。

   仕事で苦労したことは何ですか?

入社当初、電話の応対に苦労しました。電話を取ると頭が真っ白になり、言葉が出てこなくなりました。

   上記の対処法があれば教えてください。

かかってくる電話の内容については、相手の話す内容を残らずメモをするようにしました。そして重要な判断は自分で行わないこと。相手に折り返しの電話を入れるよう伝えて、上司に判断を仰ぐようにしました。こちらからの電話につきましては、伝える内容を事前に紙に書き出しました。紙に書かれた内容をもとに、手順を踏んで相手に伝えるようにしました。

   私生活で苦労したことは何ですか?

就職活動中、仕事をすることに対するネガティブなイメージを払拭するのに苦労しました。就労とは恐ろしいものだと思っていました。

   上記の対処法があれば教えてください。

自己分析をすることです。自分自身を紐解いて、紙に書き付けることにより、自分の出来そうなこと、得意そうなことを見つけることができました。そこから自分の出来ることをどのように仕事に活かすか、筋道をつける作業を行いました。それにより、就労に対する恐怖を幾分か払拭できたと感じております。

   最近最も嬉しかったことは何ですか?

親元から独立して生活していること。何事も自分の責任で決めることが出来る喜びと、親のありがたさを改めて感じました。

   障がいを克服(回復)するには何が必要ですか?

自分の行動に少しずつ変化を与える習慣が必要と考えます。少しずつ自身の行動を変えることにより、回復につながる習慣・環境を見つけることが出来ると思うからです。トライ&エラーを意識して繰り返す必要があると思います。

   自分にとっての転機は何だと考えていますか?

自分にとってのターニングポイントは3つあります。

1.作業所への通所(2006年1月~6月)
2.障がい者職業訓練(委託訓練)参加(2006年7月~9月)
3.初めての減薬&不安の払拭(2009年5月)

作業所の職員さんから様々な情報をいただきました。障がい者雇用という雇用形態の存在、障がい者職業訓練の存在など。

障がい者職業訓練では、かけがえのない仲間に出会えたことが大きいです。同じ障がい(精神疾患)を持っていながら、同じ目標(就職)に向けて仲間と頑張れたこと。仲間は同志でありライバル。皆が頑張っているのに、自分だけサボるわけにはいかないという気持ちが芽生え、懸命に取り組めました。

不安の払拭により、仕事に前向きに取り組めるようになりました。漠然とした不安がなくなったことは、私の心に光が差し込んだような感覚を得ました。また偶然だと思いますが、同時期に初めて薬が減りました。

   心身の健康を維持するために重視していることは何ですか?

3つあります。

1.睡眠時間の確保
2.筋力トレーニングの実施
3.勉強時間の確保

私にとって睡眠時間の確保は、体調維持のための最大の要因です。睡眠時間を考えて日々の行動を調整しております。

私にとっての筋力トレーニングは、筋肉をつけることが目的ではありません。筋力トレーニングを行うことにより、私の精神状態が安定するのです。筋力トレーニングをはじめてから、出勤率がより安定するようになりました。

勉強時間の確保は、私の満足感に大きな影響を与えます。勉強することは自分にとって有意義な時間を過ごしていると認識させます。そのため勉強時間をしっかりとれると、私の満足感が大きくなり、体調が安定します。逆に勉強時間を確保できないと不満感が増え、体調が不安定となります。

   この会社に入って良かったことは何ですか?

仕事を通じて2つの喜びを得られたことです。

1つは人に貢献する喜び。
2つ目は成長する喜びです。

まず貢献する喜びですが、仕事を通じて人に貢献し、喜んでもらうことが自分の喜びにつながると知りました。これまでの私の仕事観を打ち破る出来事でした。他人の為に働けば働くほど、自分の幸せになって戻ってくる。仕事は大変だけれども、非常に楽しい!そう思えるようになりました。

2つ目の成長する喜びですが、仕事をしていて、はじめ出来なかったことがある日出来るようになる。こういったことが日々繰り返し起きています。その結果、今出来ないことがあっても落胆はしなくなります。しかし近いうちに出来るようになりたいと思い、工夫・努力をするようになります。このことも今の会社に入ってはじめて経験いたしました。成長する喜びを得ることが、仕事へ前向きに取り組む姿勢となって現れているのだと思います。

   社会に期待することは何ですか?

障がい者に対する理解を深める場をより一層増やして欲しいです。障がいは特別ではなく、個性の一部として認識できる世の中になることを希望します。そこには偏見も差別のない社会となるかと思います。

   最後に主張しておきたいことはありますか?

今私は体調が非常に安定しております。現在のような体調となったのは、会社に入ってから2年と6ヶ月が過ぎてからでした。ここで私が述べたいのは2つあります。

1.障がいを完璧に克服してから就労をすることは効率的ではないということ
2.仕事が障がいを軽減させる要因の1つであること

障がいを完璧に克服するまで待って、それから就職活動をすることですが、完璧に障がいを回復させることは非常に時間がかかると思います。それよりもある程度体調が安定したら就職活動を開始し、仕事をしながら体調を安定させるほうが、結果的に良いと考えます。就労したら自分自身でより一層体調管理にも気を遣うようになるからです。

仕事が障がいを軽減させる要因というのは、人間の成長が障がいを軽減させるという考えに基づきます。そして人間を成長させる最も大きな行動は、仕事をすることだと思います。よって仕事は障がいを軽減させる一因であると考えるのです。

仕事に積極的に取り組むことは、自己の成長という果実を生みます。それが障がいの軽減をさせるのだと思います。今後も仕事に積極的に取り組みます。障がいを持っていてもしっかり働けることを示し、障がい者の社会的地位の向上に少しでも貢献できればと思います。

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